本日、研ぎに持ってきていただいた皮むき包丁は、石川県鶴来町(現白山市)の特産品です。県内では広く愛用者がいます。小さくて使いやすいのです。刃渡り65mmの両刃です。メーカーも今は2~3件です。現地に行かないと買えない品物です。便利で使いやすいものです。このまま廃(すた)れるのは大変残念です。
全国にはこのような刃物がたくさんあるのではないでしょうか?そんな刃物があれば是非教えて下さい。非力ですが当ブログで紹介し応援したいと思います。
(丸いのは100円玉です。)
戦前までこの地域で現在のように果物が少ない時、秋になると甘柿や干し柿を食べる時に、皮を剥く事を主に使用されていたようです。
私(六代目)が大学を卒業し、家業を本格的にはじめた昭和55年にあるモノを見つけました。戦争中には当店は軍需工場として指定され、近所の方々も働きに来ていた頃、作業場として使用していた家向かいの第2作業場の裏にある蔵(現在は店舗前の通りが拡幅された為、なくなりましたが。)にて、木箱から小さな包丁の柄らしきものを沢山見つけました。私は父にこれは何かと聞くと、戦後間もない頃まで、この辺りではよく使われたもので、のこぎり製作を主流での合間に当家で作っていた「かわとり包丁」の柄だとの事。私は想像もつかず、どんなものか父に作ってもらいました。偶然にその頃私は地元でボーイスカウトの指導をしていた関係でお尽きあいしていた県のコミッショナーをしていた金沢のお寺のご住職さんのお宅へお伺いしたおりに、ご馳走になったリンゴの皮をむくときに戦争中からまだ使っているという、さすがに研ぎ込まれかなり細くなった「かわとり包丁」を目にしました。柄はご自分で布(きれ)と漆を幾重にも重ねて貼ったというツヤの良い柄が入っていました。これは「すご~い」の一言で感動ものでした。少しづつ作り陳列していると、家に来られる年配のお客様方々がこれを見てみなさんが、「これは懐かしいね」と、徐々に需要と評判が広がっていきました。
その評判を聞き、福留アナウンサーが司会を務めていた「ズームイン・朝」で当店の「かわとり包丁」が地元放送局を通じて全国放送されました。地元アナウンサーは様々な果物の皮やフランスパンなど、私たち家族一同、感心するほど様々なもの切ってみせて見事な宣伝ぷりでした。その反響は大きく、約10日間くらいは朝7時頃から夜10時頃まで、注文の電話が殺到しました。隙間をぬってNTTから電話があり、電話回線は一本で大丈夫ですかと心配されたり、役場や商工会にも問い合わせの電話が入り、皆様にかなりご迷惑をお掛けしたようです。職人である私たちには発送する事も慣れておらず、千葉へ嫁いだ姉も梱包に応援に駆けつけてくれたり、郵便局の方々も率先して宛名書きを手伝ってくれました。この時の10日間位の注文を完納するのに約1年かかりました。ご注文下さいましたみなさん、大変お待たせしご迷惑をお掛け致しました。
以来、他店でも仕入れ販売をされ、いつの間にか「鶴来特産品」と言われようになったみたいです。
地域活性化に役立って良かったと思います。

『研匠』光三郎は、研ぎを通じて、庖丁(刃物)の本当の切味を提供し、楽しく、気持ちよいお料理環境を創造する会社です。
庖丁等の刃物は、現在研ぐ所がないため、多くが使い捨てになっています。
以前はどこの家庭にも「砥石」があり、お父さんやお母さんが研いでいました。そういった人が高齢化し、年々その数が減少し、その反面お困りの方が増えています。『研匠』光三郎はそんな人の悩みを解消し、毎日のお料理が少しでも楽に、楽しくなればと考えています。
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